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日刊実話 北海道中~第3章~ [エピソード]

~第3章~  戦い

自転車との戦いが始まった

20歳の男が今更公園で練習などさすがに恥ずかしい・・・そこで見つけた絶好の練習場所は学内のE館という建物の前にある庭のようなスペースである。

勿論ではあるが全然うまくいかない、大体なぜ2輪が安定するのだ!?原理がわからないと闇雲に乗っても意味がないのでは?と思いは交錯し、友に問うても

「理屈なんか知らんでも乗れんねん!いいから走りぃ!」

今にしてみればそれはわかるが当時は「無茶や・・・」と思ったものである。

乗れども乗れども自転車は安定しない・・・。E館とは私が所属する演劇専攻がダンスの授業で使う場である。公園よりはマシとはいえ先輩や後輩にも見られてしまう。あきらめようと思ったこともあった。

私「なあ、よくおばちゃんが三輪のやつ乗っとるやん。あれ乗ったら逆におしゃれって思われへんかな」

友「んな訳ないやん、いいから走りぃ!」

毎日汗だくである。ダンスの授業の後も練習。仲間から

「だんじ、ダンスの授業より汗かいとるやん。ダンスもそんくらいやらんと」

と言われる始末・・・ちなみに「だんじ」とは私の大学時代のあだ名である。九州男児からついた。

それでも先輩後輩いろいろアドバイスを受けながら練習してるうちに変化が・・・段々安定する時間が長くなってきたのである。確かに理屈じゃない、感覚だ・・・。そして走れるようになっては拍手、足でなくブレーキで停止できるようになっては拍手、曲がれるようになっては拍手と、嬉しいような見せ物になってるような微妙な気分であった。

そして路上教習である。皆さんは自転車で初めて道路を走ったときの気分を覚えているだろうか。大抵の人は幼い頃で覚えてないだろうが私は克明に覚えている。外があれほど恐いと思ったことはなかった・・・。

「え?人歩いてるやん。わ!車の横通るの恐い!うわ!曲がりすぎて壁にぶつかる!!」と今になれば馬鹿げた恐怖感で一杯だった。

やがて路上にも慣れ、卒業試験はE館→大学構内→大学通り→駅で折り返し。構内も通りも人だらけ、どうにか間をぬってへろへろになって戻ったものだ。

こうして晴れて私は自転車に乗れるようになった。私は悟った、「人間やればできる」と!

これは5月、誕生日直前の出来事であった。そして21歳の誕生日にはなんと友達、先輩、後輩達から金を出しあって買ったという自転車をいただいた。シルバーのスマートなかっこいい物だった(数ヶ月後には北海道旅行でボロボロになってしまうのだが・・・)。

それから1、2カ月。成り行きで友達と北海道を自転車で走ることになった。私の心理としては「ちっちゃい子が自転車に乗れるようになって少し遠出したくなる」ことと同じ

・・・違うだろうか?・・・

とにかく自転車歴3カ月にして北海道を走ることになったのである。             つづく


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MILK

kimさん、おはようございます (^|0|^)
第三章を読みながら、私も自分が自転車に乗れるようになった日の事
思い出してました・・・(- -)

普通の人々は、幼い頃に経験するのでしょうが
私達みたく、大きくなってからコレを経験した人には
その感動は鮮明ですよね・・・

何だか自分が別の自分に進化できたような・・・
私にとっては「母になった事」の次にくるくらいのビックリ変化でした☆

私の場合は、数人のヤンキーお兄さんに教わっていた訳ですが
私の後ろを支えていたはずのお兄さんが、隣に来て
「自分で走っとるよ~走っとるよ~!」
って言ってて・・・私の周りを走ってついてくる
3人のヤンキーお兄さん・・・きっと異様な光景だったでしょうね (^▽^;)

それにしても、乗れるようになって3ヶ月で北海道なんて・・・
kimさん、ハチャメチャです~ (;^_^A
by MILK (2007-06-23 10:55) 

EXOTIC-KIM

>MILKさん

こんばんわ・・・か、おはようございます、か微妙な時間であります(^^i)
家に帰るのが遅くなり第4章を書いてるうちこんな時間になってしまいました・・・(><)

後ろを支えてもらう、よくある方法ですが確か私には合ってなかったような気がします。逆に変に気にしてしまい、「いい、自分で感覚つかむわ」と言ったような・・・

覚えているのは友達とかに「ここまで足つかんようにしてきいや」と言われ、まるで自分がママのところへ必死にハイハイする赤ん坊の気分になったことですね(--j)

MILKさんにコーチしてくれたお兄さんがたはほんとに親切なヤンキーだったようですね♪
by EXOTIC-KIM (2007-06-24 04:24) 

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