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日刊実話 北海道中~最終章~ [エピソード]

~最終章~   

自転車の旅はいよいよラストスパート。この日は札幌から定山渓へ。

さほど距離はないのだが山道が多い。登り坂では本当に腰が痛む。生涯駄目にしてしまうのではと思うほどだ。

そんな登り坂が終わると今度は下り坂、当たり前だが下りは楽。スピードに慣れてきたので自転車に身を任せて下る。だが、さすがにスピードが出すぎかなと思い、ブレーキをかけて速度を落とそうとした。すると自転車がすごい勢いで揺れ始めた!まだ自転車歴が浅かった私には初めての経験。よりによって大型トラックがやたら走ってる脇でのこと、冷や汗ものだった・・・。

定山渓に到着。温泉旅館に泊まり体を癒す。

 

次の日、ついに自転車での移動はファイナル。それにふさわしく?最大の関門、中山峠越えである。

登りでは相変わらず腰がひどく痛む。加えてこの道中初めて雨に見舞われた。山の悪天候は最悪である。「一寸先は闇」という表現があてはまるくらい、わずかな先も霧で見えないのだ。

が、中山峠にはオアシスがあった。「道の駅」である。しばし雨宿り。幸い雨はやみ視界も良くなったので再び走る。前日の教訓を生かし下りはスピードを適度に調整、程よいスピードで快適、流れる景色を楽しんでいると

ガクッ

何事!?・・・パンクだ。私はパンクの処置方法を知らなかった。今でも知らないが・・・。Kくんはいつものように先に行っている。山の中腹にして歩かざるを得なくなってしまった・・・。

とぼとぼと山を降り、普通の道に出るとKくんがいた。応急処置をしてもらい、発見した自転車屋で修理してもらう。

さすがに峠越えは一筋縄ではいかなかった。まさに峠を越えたこの道中、普通に坂道を下っていると・・・道にあったロープかコードか何かが前輪に絡まった。何だ?と思った瞬間ロープのようなものに勢いよく引っ張られ自転車が急停止。

 

私は飛んだ

 

幼いときの悪夢再び!?・・・いや、今回は奇跡的に着地成功。自分でも驚きだ。

なぜなら私は運動神経に自信がないことに自信がある。余談であるが、高校時代の校内球技大会のとき、人数の関係で苦手なバスケットボールに出る羽目になった。試合中、「ボールが来ませんように」と祈った・・・無理に野球の試合に参加させられた野比のび太のように・・・。ところが私にボールが来てしまった。状況的にドリブルするしかない。ギャラリーの注目の中、慣れぬドリブルを始める。

経験者ならわかるだろうがうまい人はドリブルのとき姿勢はあまり崩さず前を見て走る。が、私はひたすらボールを見ながら走った。その結果、バウンドしたボールが顔面直撃・・・私は後ろに倒れギャラリーの笑いを誘った・・・。

そんな私がうまく着地、どこにこんな反射神経があったのかと不思議に思ったものだ。自転車にも支障はなく走行再開。

 

そして最終目的地、登別が近づいてきた。Kくんのペースもゆっくりになり、二人でのんびり走る。Kくんは自転車歴が長いのでそんなにトラブルはなかった。が、前を走っていたKくんの自転車が突如逆ウィリーし転倒!何があった?と思った。どうやら足で前のライトをつけたり消したりして遊んでるうちに誤ってスポークに足を絡めたらしい。スポークは一本折れてしまった。登別までわずかだったのでどうにか完走できたがいやはや油断は禁物だ。

 

登別に到着。最終宿泊は「登別グランドホテル」!!・・・思えば計画の段階で「サイクリングセンターに泊まれば安くつく」と話していたのだが実際はサイクリングセンターは初日のみで後は、民宿→旅館→温泉旅館→グランドホテルと日に日にグレードアップしてしまった・・・。いつの間にか「日中しんどい思いをしているのだから夜は優雅に」という考えが根付いていたのだ。

 

翌日、登別から電車で函館へ、いよいよ北海道とお別れである。本州行きの電車が発車した瞬間、わずかな滞在であったが北海道へ惜別の情が湧く。やがて電車が青森についたことがわかると旅の終わりを実感した。

 

大阪に戻り、周りに言われたこと「チャリもうボロボロやん!」  しかしこの自転車はつい数ヶ月前まで私の足として立派に活躍した。

 

あれから12年、この文章を書きながらあのときの思い出が鮮明に蘇った。北海道の壮大な自然は様々な刺激を与えてくれた。人間の原点はやはり自然なのである。

そしてこのエピソードを最後まで読んで下さったことに心より感謝し、締めに代えたい

                                                       完

 


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コメント 2

MILK

kimさん、お疲れ様でした~(*~¬~*)/。・:*:
とうとう最終章まで来ましたね(^^)
12年前の旅ながら、今成し遂げたような達成感を
味わってられる事と思います☆

腰痛、パンク、そして空中飛行(?)をも乗り越え
無事帰還された事、今更ながらホッとしています(*´∀`)ノ゚.:。+゚
しかしその時の自転車が、つい数ヶ月前まで
kimさんの足として立派に活躍した・・・という所に又ビックリ!
雪駄同様、今のkimさんの事を支え続けていたんですね~ =*^-^*=
苦楽を共にした「Kくん」さんとは
今でもずっと連絡取りあってられるのでしょうね・・・♪

執筆終了おめでとうございます!
今振り返る事により、北海道旅行の事、再認識されましたね☆
私も一緒に北海道を旅しているような
楽しい時間を過ごさせていただき、楽しかったです!ヽ(*’-^*)
by MILK (2007-06-30 16:25) 

EXOTIC-KIM

MILKさん

こんばんは♪

最後までお読みいただきありがとうございました!!

最後は思いっきり長文になってしまいましたが、完結しました。

Kくんとは卒業してから上京して同じ俳優養成所に入り、実はKくん、今も都内にいます。

それにしても10章までいくとは思ってませんでした(^^i)おかげ様で懐かしい思いに浸ることができました。

あ、このブログは引き続き書いていくんでよろしくです(^O^)
by EXOTIC-KIM (2007-07-01 02:11) 

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